2003年 パクキョンライ氏のアーチェリーセミナー


平成15年6月20日から22日までの3日間韓国でオリンピック金メダリストを育ててきた、パクキョンライ氏によるアーチェリーセミナーが開催された。

内容は「実技指導の中での指導方法の確認」。

今回の講習会は国体強化合宿の一環として行われた。








一番重要なこと
シューティングの上で一番大事なことは、押して側の肩甲骨を安定させること。
押し側の肩甲骨を安定させることはシューティングホームの基盤となる一番大切な要素で、正しい肩甲骨の位置、肩甲骨を正しく使う練習方法などについて指導された。 しかし、いきなり「肩甲骨」と言われても理解に苦しむ。何処に肩甲骨があるのか、どのように意識すれば良いのか、どの位置が正しい肩甲骨の位置なのか、順を追って理解していく必要がある。




1.骨を意識する。

まず、最初にドローイングするときに大切なのは、どこの筋肉を使って引き手動かすかでは無く、骨を意識してドローイングすること。


 腕を曲げるのに筋肉を意識して動かそうとすると、、複数の筋肉を意識的に動かすことになる。
 これは、一度に複数の筋肉をコントロールすることになり、動作を難しくする原因になる。

 筋肉ではなく骨の動きだけに集中すると、筋肉の微妙なバランスや動きは脳が自動的に判断し命令を出すので、コントロールする対象を骨の動きだけにまとめることが出来、その結果ドローイングを易しくすることにつながる。



2.肩甲骨の正しい位置
肩甲骨には多くの筋肉が繋がっていて、押し手を安定させる為にはこの肩甲骨を安定させることが何よりも重要になる。
肩甲骨の正しい位置はセットアップしたときに肩甲骨に繋がっている筋肉がバランスよく緊張した状態にあり、肩甲骨の一番自然な位置にあるのが望ましいが、最初は解りにくいので、肩甲骨を触れてもらった状態でセットアップしてみて肩甲骨が何処にありどのような状態にあるか確認していくことで、少しづつ肩甲骨を意識することが可能になる。
セットアップで押し手を上げたときに押しての肩の位置が上がるのは肩甲骨が安定していない証拠なので、何度もセットアップの練習を繰り返し、自分の正しい肩甲骨の位置を意識できるように練習する。
注意するのは肩甲骨を上からどれくらいとか、力をいれて押さえつけるのでは無く、あくまで一番自然な安定した位置を探し、セットアップした時にすぐにその位置に来るように繰り返し練習すること。

3.グリップ
グリップは押しての肩に大きな影響を与える。

左が正面から見た正しいグリップ。
   

右のグリップは完全にベタ押しになっていて、生命線より小指側がグリップに触れてしまっている。このようなグリップは押しての肩を押し上げる原因になるのですぐに直した方が良い。

4.セットアップ&ドローイングの練習



シャドーシューティング正しい肩甲骨を見つけたら、次のステップとして、肩甲骨をそのまま安定した状態の中でドローイングする練習をする必要がある。

今回の講習会では、

・ 何も持たないシャドーシューティング
・ 弱いストレッチバンドを使ったシャドーシューティング
・ 実際の弓を使ったセットアップ、
・ 弓を使った素引き
・ 弓に軽いストレッチバンドを掛けた状態での素引き

これを段階的に繰り返し行うことで、弓の重さや弓のテンションによるズレを少しづつ無くしていき、最終的に肩甲骨を安定した状態でドローイングできるフォームを作っていった。

この練習を繰り返すことで、ほぼ全員の押し手の肩が上がらなくなっていったのと、引き手も安定感が増していた。


一番下の写真は国体強化選手のM原君。

彼は今回のセミナーでまた理想的なフォームに近づいたと言える、この写真だけでは解らないが、引き手のひじの位置がセミナーの前より少し高くなっている。
これは押しての肩甲骨を安定させる為にバランスを修正した結果で、セミナー前より安定したフォームとなっている。

彼は今回のセミナーを通して「引き手の感じが凄く良くなった」とコメントしている。

5.フルドローでの伸び

フルドローに入ってから何処に意識して、クリッカーを落とすかは個人差がある。
一般的には引き手のひじや引き手の肘から肩にかけて、若しくは押し手等だ、先ず重要になるのは、本当に自分の意識したところで引いているか確認することで、自分が意識している箇所と違うところで、クリッカーを落とそうとしている人は少なくない。
その確認方法として、伸びない糸を(ストリング原糸等)用意し片側をノッキングポイントに結び、もう片側をハンドルのプランジャー等に結びつける。この時、長さを自分の引き尺か、引き尺より僅かに短く調整ししっかり結びつける。その状態で素引きし結んだ糸を切るイメージで引く。
通常よりも強い負荷で弓を引くことにより、自分が何処を使ってクリッカーを落とそうとしているか意識出来るようになる、次に近射等で今使った箇所を意識的にコントロールすることで、フルドローに入ってからの動きをより強く意識的にコントロール出来るようになる。


6.まとめ

今回のセミナーでは日程の関係もあり基本的な内容を中心だったと思う、大切なのは練習の前や試合の前等にセットアップの練習を繰り返し、肩甲骨の位置をしっかり把握し安定したフォームを作ること。肩甲骨が安定した押し手(フォーム)の土台となっている事を認識して練習に取り入れていくと良い。


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